アルゴ
ベン・アフレック監督、主演。
実際にあった事件を基にした作品。
序盤は当時の映像を織り交ぜながら、事態がいかに深刻なものかを伝える。
アメリカがいかに厳しい状況にあるか、イランがどれ程怒っているか、事件についての知識がほとんどない私にも十分伝わってきた。
とても緊迫しているな…と思いきや、中盤はゆったりと進んでいく場面が多い。
主人公メンデスはとても今から単身イランに乗り込む男とは思えないほど地味で、ヒーロー的要素など微塵も見られない。特に、映画会社設立の場面なんかは、さっきまでと同じ映画なのだろうかと思うほどゆるい。
その雰囲気のままイランに乗り込み、作戦決行へ。
しかし、直前になり、アメリカの本部から作戦中止と言う連絡が入る。
このままでは、飛行機に乗ることが出来ず、脱出させることは不可能。だが、メンデスは独断で、一方的に作戦決行を告げる。
ここからの終盤はもう目を離すことなど出来やしない。これほどまでに緊張感のある映画はなかなかない。ハラハラドキドキとはこの感覚のことを言うのだろう。しかも、前述したようにこの作品は実話を基にしているのだから、さらに凄いとしか言いようがない。
映画を観終わった瞬間、私はもうベン・アフレック演じるメンデスの虜になってしまっている。少し頼りないように思えた男は、終始寡黙ながら、一本芯の通っている仕事人にしか見えなくなっている。
そして、役者としてだけでなく、監督としても、ここまでの素晴らしい作品を演出したベン・アフレックは本当にすごい!さすがアカデミー賞受賞作品。